札幌でリウマチ治療を中心としたクリニック。さっぽろ内科・リウマチ膠原病クリニック

さっぽろ内科・リウマチ膠原病クリニック

 011-700-2000

診療時間 9:30~18:00(火・土は午前のみ)

生物学的製剤

生物学的製剤の登場

生物学的製剤とは

生物学的製剤とは化学的に合成した薬ではなく、生体が作る抗体(たんぱく質)を人工的につくり、薬物として使用した新しいタイプの薬です。関節の炎症を引き起こす活性物質にターゲットを絞って作用する関節リウマチの薬です。

これまでの抗リウマチ薬に比べて薬剤費が高価ですが、有効性にかなりの期待ができる薬剤で、特に関節破壊抑制効果に優れていることが知られています。

生物学的製剤

生物学的製剤の種類

現在日本では関節リウマチに対する9つの生物学的製剤が発売されています。各薬剤の特長を下記に示します。

  • レミケード®、インフリキシマブBSあゆみ®など

レミケードはTNFという炎症反応に関与する生体内物質の働きを抗体によって抑える抗体製剤です。世界で初めて作られた抗体製剤になります。関節リウマチだけではなく、多くの疾患に適応を持ちます。投与方法は点滴のみです。関節リウマチに使用するときにはMTX(メソトレキセート)の使用が必須となります。

  • エンブレル®、エタネルセプトBS「MA」®など

エンブレルもレミケードと同様にTNFの働きを抑えますが、構造がレミケードとは異なる受容体製剤です。世界で初めて自己注射を実現した製剤です。半減期が短く、毎週の投与が必要になります。妊娠管理時も使用でき、高齢者にも比較的安全に使用できる注射です。最近ではジェネリック医薬品と同じようなバイオシミラー薬品が販売されるようになりました。

  • アクテムラ®

アクテムラはIL-6というTNFと同様に炎症反応に関与している生体内物質の作用を強力に抑制します。日本で開発された薬品です。IL6の受容体をブロックする薬剤で点滴と皮下注射の2種類があります。用途によって使い分けができます。

  • ケブザラ®

アクテムラと同様に、IL-6の作用を強力に抑制します。2024年6月現在出荷調整がつづいております。

  • ヒュミラ®、アダリムマブBS「MA」®など

ヒュミラはレミケードと同様にTNFの働きを抑える抗体製剤です。2週間に一度の皮下注射製剤になります。適応疾患がかなり多く世界で最も汎用されている生物学的製剤です。

  • シンポニー®

ヒュミラやレミケードと同様にTNFの働きを抑える抗体製剤です。月に一度のみの皮下注射製剤です。MTXが使えない場合は100㎎から開始ができます。

  • オレンシア®

他の生物学的製剤はサイトカイン(TNFやIL6)の働きを抑えますが、オレンシアは関節リウマチの発症に関与するT細胞の活性化を抑制することでサイトカインの産生を抑えます。高齢者にも安全に使用することができます。点滴と皮下注製剤の2種類があります。用途によって使い分けができます。効果が出るまでに少し時間がかかる薬剤ではあります。

  • シムジア®

ヒュミラやレミケード、シンポニーと同様にTNFの働きを抑える抗ヒトTNFα抗体です。胎盤を通過できないので妊婦さんによく使われる生物学的製剤です。

  • ナノゾラ®

ヒュミラやレミケード、シンポニーと同様にTNFの働きを抑える抗ヒトTNFα抗体です。月に一回の皮下注射製剤です。

生物学的製剤の詳しい内容

上記でご紹介した生物学的製剤の成分や投与感覚、おおよその年間治療費です。
患者様ごとに治療内容が異なりますので、詳しくは知りたい場合は医師にお尋ねください。

様々な種類の生物学的製剤

生物学的製剤の投与方法と投与間隔

生物学的製剤の種類

生物学的製剤の副作用・問題点

生物学的製剤は画期的な効果を生むことが多いですが、効果が得られない患者さんも20~30%いらっしゃると言われています。
また、効果が得られても、副作用が問題となって治療の継続が難しい方もいらっしゃいます。

下記はそれぞれの薬剤の副作用状況を列記しております。これらの副作用の比較をしているのではなく、こういった副作用が起こり得るものとご解釈ください。我々専門医のなかではこれらの副作用はほぼすべて同等に発症に、軽微なものが多いことをお知らせいたします。しかし、重篤な副作用もあることも確かであり、使用前にしっかりとご説明いたします。

各生物学的製剤の国内市販後調査報告における副作用

最後に

生物学的製剤は大変良い薬です。しかし、その反面副作用が発生した時、なにか予想されない事態が起きた時の対応が大変重要になります。ですので、やはり生物学的製剤をしっかり管理しているリウマチ専門医の受診を強く勧めます。当院では生物学的製剤の選択や副作用の対応をしつつ、遠隔(稚内や紋別など)地域のかかりつけ医と連携を取りながらの診療も可能です。生物学的製剤は抗がん剤と同じように免疫を落とします。ワクチンの相談や肺炎や癌ができたとき、妊娠した時などすべての状況に対応しております。入院が必要な時には地域の連携病院(北海道各地にございます)にすぐに対応していただける環境を作っております。セカンドオピニオンや生物学的製剤の指導だけでもいらしていただいても構いません。しっかりと対応してまいりますので、お電話にて連絡ください。

投稿日:2016年11月22日 更新日:

Copyright© さっぽろ内科・リウマチ膠原病クリニック , 2024 AllRights Reserved Powered by micata2.